
テレワークにて仕事をする場合、本来はかからなかった電気代の負担が生じます。
仕事をしているだけとはいえ、在宅している以上は意識せず電気を消費しているものです。
1か月単位で見ると在宅時間が増えた分だけ、案外大きな出費となります。
今回はテレワークにおける電気代は経費となるのかという疑問を解消します。
プライベートでの使用と区別が難しい電気代は誰が負担するべきなのか、有効な節電対策にはどんなものがあるのか見ていきましょう。

結論を言うと、フリーランスで自宅での仕事で使用した電気は経費として計上可能です。ただ、すべてが経費になるわけではなく、日々の生活で使用した電気と分ける按分といったルールがあります。これは知っておいて損はありません。
テレワークで発生する電気代はどんなものがある?
テレワークによって在宅で仕事をする時間が増えると、家庭の電気代にも少なからず影響を及ぼします。
自宅に滞在する時間が多くなるため、電気代がアップするのはある意味当然でしょう。
とはいえどのようなことに電気代を費やしているのか、イマイチ分かりにくいかもしれません。
職場で仕事をしている時はほとんど気にすることのなかった費用でしょうから、何に電気代を消費しているのか案外把握していないものです。
まずはテレワークをすることによって発生する電気代に関して見ていきましょう。
エアコン代
在宅にて仕事をする場合、夏場の暑い日や冬場の寒い日はエアコンを稼働させることになります。
エアコンは消費電力の大きい家電となることから、在宅時間が増えると電気代増加に繋がりやすいです。
1時間当たりのエアコン代の目安は以下の通りです。
- 冷房は3.5円~23.8円程度
- 暖房は3円~40.5円程度
計算式はこんな感じです。
1時間あたりの電気代の求め方
電気代(円)=消費電力(kW)×27(円)※※
電力料金目安単価27円/kWh(税込)[平成26年4月改定]で算出。
年式が古いエアコンや対応している畳数の広いエアコンですと、費用が高くなるみたいですね。
仮に、冬場に1日8時間程度テレワークをおこなった場合、1時間に20円電気代を費やしたとすると、1日では160円増加することになります。
1か月の出勤日数を22日と考えると、おおよそ3520円ほど電気代が加算されるので、かなり痛い出費でしょう。

ぼくはエアコン台をケチろうとして、ダイソーで購入したハンディー扇風機を駆使して仕事していましたが、それでも暑すぎて作業効率が落ちました(笑)
パソコン代
テレワーク中は常時パソコンを起動しておくことになるでしょうから、パソコンの電気代も発生します。
パソコンの電気代は安い場合ですと1時間あたり0.5円程度、高い場合でおおよそ2円程度です。
よって1日あたりの電気代は次のようになります。
- 電気代の安いパソコンを使用すれば0.5円×8時間=4円
- 電気代の高いパソコンを使用すれば2円×8時間=16円
1か月で22日間テレワークをした場合、約88円~352円程度電気代が増える計算となります。
照明代・レンジ代
自宅で働くとなると、薄暗い時間帯は照明代も必要になります。
照明器具がLEDの場合ですと電気代は微々たるものです。
1時間あたりおおよそ1.2円のため、テレワーク中に5時間程度照明をつけたとしても6円です。
22日間の出勤で132円程度の出費となります。
シーリングライトの場合は仮に75ワットとすると、1時間あたりおおよそ2円です。
先ほどと同じ条件で計算すると、22日間では220円の費用が発生することとなります。
また、こちらは必ずかかる訳ではないものの、昼食のために電子レンジを使ったりするとその電気代も発生します。
本来会社にいる際は必要のなかった細々とした電気代が生じることを覚えておきましょう。

各電化製品の電気代を計算してみると、場合によってはこんな使っているのか!と驚きますよね。では、それらの電気代は経費としてどのような扱いになるのでしょうか?
フリーランスの電気代は按分により経費計上可能
在宅で仕事をするとなると、案外様々な電気を使用していることがお分かりいただけたでしょう。
気になるのは、発生した電気代の扱いです。
電気代の費用負担がどのようになるのかというのは、会社員かフリーランスかにより異なります。
まず自宅で働くフリーランスですと費用は自己負担ですが、確定申告時に経費として計上することができます。
ただし計上するためにはルールに則ることとなり、按分という考え方をしなくてはなりません。
確定申告について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
フリーランスの確定申告についてまとめました。白色申告と青色申告の違いや控除の種類など避けては通れない確定申告の際に出てくる用語の詳細も紹介しています。

「按分」という聞きなれない言葉が出てきたぞ…それっておいしいの?
按分とは?
電力会社から電気代を請求される時に、同じ住居であれば仕事分の電気代もプライベート分の電気代も一緒に請求されます。
そのため仕事用として費やしている電気代はいくらなのか、正確にジャッジできません。
そこで按分という考え方を用いることになります。
按分は割合に基づいて計算する方法で、合理的な割合を基準とします。

たとえば自宅で仕事をしている時間が約8時間の場合、1日あたり3分の1に該当するため、電気代も請求された3分の1を経費として振り分けることが可能です。
このように按分によって計上できる経費としては、他にも一例として以下のものがあります。
- 家賃
- ネットのサーバー代
- スマホ代
経費を増やすことで所得を下げることができる
前述のようにフリーランスの場合、仕事で使った自宅の電気代も自己負担で払う必要があります。
しかし按分により経費計上をおこなうと、所得を小さくすることが可能です。
所得を小さくすればその分支払う所得税も少なくなります。
よって1か月あたり数千円程度の電気代だとしても、きちんと按分により経費計上することで節税に繋がります。
フリーランスは自分で確定申告をおこなわなければならないため、普段からしっかりと経費を帳簿付けする必要があります。
しっかりと経費計上できた場合とそうでない場合で、支払うべき税額が異なりますので、わずかな電気代もきちんと把握しましょう。

個人事業主が電気代を経費として計上できることはわかりました。では、会社員でテレワークをしている場合はどうなのでしょうか?
会社員がテレワークする時の電気代は誰が負担するの?
会社員ですと会社側が年末調整をおこないます。
そのためフリーランスのように自分で確定申告をすることは基本的にないため、経費計上のような仕組みもありません。
つまり仕事で使った電気代を記録しておき、按分により費用割合を求めるような必要は生じません。
では会社員がテレワークにおいて発生した電気代の扱いはどうなるのでしょうか?
費用は誰が支払うのが一般的なのかを解説します。
備品などは貸出が一般的
自宅でテレワークをおこなうとなると、パソコン本体やスマートフォンなどの用意も必要となります。
会社で仕事をする場合にはこのような備品類は揃っていますが、自宅で仕事をするとなると環境の整備から始めることになるでしょう。
一般的にパソコンやスマートフォンは新たに自分で購入するのではなく、会社のものを貸し出すというパターンが多いようです。
また、仕事のために購入した文房具などは、後日申請することで会社側が負担してくれるのが一般的です。
このように100%仕事のためとして区分できる備品類は、基本的には会社が費用を負うことになります。
しかし電気代のような仕事とプライベートの線引きが出来ないものに関しては、会社によって対応が分かれます。
電気代は在宅勤務手当として補助される場合も
テレワークにて仕事をおこなうとなると少なからず電気代の負担も生じますが、その対応は会社によって分かれるところです。
電気代は備品類とは異なりプライベート分も含まれているため、会社側としては経費にするのが難しいです。
よって在宅勤務手当という形で、電気代などの水道光熱費負担を補助するという会社もあります。
しかし会社によってはこのような手当の支給はなく、全額自己負担という会社も存在します。

なるほど。まとめるとこうなる感じでしょうか。
個人(フリーランス) | 会社員 | |
---|---|---|
電気代の経費計上 | 〇 | × |
家事按分 | 〇 | × |
パソコン等の設備の準備 | 自己負担 | 会社負担 |
手当 | なし | 会社によって有無が異なる |
有効な節電対策をご紹介!
このようにテレワークで働くとなると電気代がネックになります。
1日あたりの使用量として大幅に増加するわけではないものの、塵も積もれば山となることから、年間を通じて考えれば相応の負担となることは否定できません。
使用方法によっては在宅勤務手当で賄いきれないですから、なるべく節電しながら過ごすことが大切でしょう。
節電対策には色々なものがあるので、実践しやすいものから取り入れてみるのがおすすめです。
1日の大半を自宅で過ごしている場合、節電術を取り入れることでかなり節約へと繋がります。

特に真夏や真冬に使いまくるエアコンには意識を持っておきたいところです。ちなみに、ぼくは一軒家に住んでいるため、家族が各部屋に分散すると複数のエアコンが容赦なく稼働します。考えるだけで恐ろしいですね…
なるべく狭い部屋を利用する
節電テクニックとして、テレワークに使用する部屋はなるべく狭い部屋を選ぶという方法があります。
広い部屋を選んでしまうとその分照明やエアコンの消費電力が大きくなります。
冬場ですと加湿器などを稼働させる時間もあるため、そういった電気代も発生するでしょう。
テレワークをしている時間はほぼデスクの前に座りっぱなしとなるため、広い部屋は必要ありません。
広い部屋でエアコンや照明をつけっぱなしにすると効率が悪くなることから、なるべく狭い部屋を活用する方が節約に繋がります。
また、リビングなどの広めな場所で仕事をすると、どうしてもテレビなどが目につきやすいです。
肝心な作業がはかどらないといった問題も出てきますので、集中できる狭い部屋を選ぶのがベストでしょう。

ぼくはリビングに子供がいてテレビを見ている際は別の部屋に移動して、作業やミーティングを行っています。
エアコンは自動運転を主にする
エアコンはテレワークにおいて発生する電気代の中でも、割合が大きいです。
そのためエアコンの電気代を抑えられれば大きな節約へと繋がります。
とはいっても夏場の暑い日にエアコンの使用を避けるようなことはあってはなりません。
熱中症リスクを負うことになりますので、しっかりと稼働したうえで電気代のかからない方法を選ぶのがポイントです。
エアコンは自動運転にすると省エネ効果が高いことから、弱めの冷房などに設定するよりも自動運転をメインで使うようにしましょう。
また一緒に扇風機も用いて、部屋中に冷気を循環させるようにすると、より部屋を冷やせるようになります。

ダイキンさんのサイトでも節電方法のひとつとして、「自動運転にする」が挙げられているのでこれは有効なのでしょう。
参考:ダイキン|夏も冬もOK!季節を問わないエアコンの節電方法
パソコンの立ち上げ回数を減らす
テレワーク中はパソコンをメインで使用することになるでしょうから、パソコンの電気代を減らすのも節約に繋がります。
パソコンの消費電力が最も高くなる瞬間は、立ち上げの時です。
よってなるべく立ち上げ回数を減らすため、まとめて作業する時間を確保することを心がけましょう。
またこまめにシャットダウンするよりも、スリープ状態にしておく方が電気代を抑えられます。
他にもパソコンの節電対策として、画面の明るさを抑える方法もあります。
ディスプレイが多少暗くても問題ないようでしたら、節電モードへと変更しましょう。
まとめ
フリーランスや個人事業主の場合、在宅で仕事をした際に発生した電気代は全額自己負担です。
しかし使用割合に基づいて按分することで、確定申告時に経費として計上できます。
一方確定申告の必要がないサラリーマンのテレワークですと、電気代の負担は会社の規定次第です。
在宅勤務手当という形で支給してくれる場合もあれば、補助がないケースもあります。
いずれにしろ自己負担を抑えるには節電対策を実施し、使用する電力を少なくすることが大切です。

電気代についてもフリーランスは自身で管理しなくてはいけません。これからフリーランスになろうと考えている方は知っておいて損はない内容でした。